私は3人を普通分娩で出産している。
3人目の妊娠時、2度の経験があっても緊張は常にあった。
臨月まで続く悪阻、様々なトラブル、早く産みたい!と思う反面、痛みへの恐怖も抱えていた。
「やっぱり怖い」を姉との電話で話すと
「人間は死ぬ時、どんなに苦しんでても、最期は快楽物質(脳内麻薬のようなもの)が出て、痛みがなくなるんだって。
出産も痛みの裏側にとんでもない快楽物質があるらしい。
でもほとんどの人は痛みにフォーカスしちゃうから気がつかないんだって。
…知らんけど。」
そこから、単純な私は出産が楽しみになった。
よし、この出産で快楽を見つける!
出産におけるミッションであった。
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それからやってきたXデー。
10分間隔で生理痛の痛みがきた。
2時間様子を見て、とりあえずそうめんを4束茹でて食べた。
間隔は8分くらいに縮まっている。
食べたかったスイカは、やめておいた。
まだ我慢できる旨伝え、経産婦だからと、産婦人科に電話すると来るよう言われる。
診察をするとすでに5㎝子宮口が開いていた。
入院することとなり、それから、間も無く本陣痛になった。
いよいよ裏側の快楽探しだ!!!
2分毎にくる痛み。それにフォーカスしないように、壁紙のいちごを数えた。
すると呼吸の仕方がわからなくなり、過呼吸となった。
分娩台に上がり、眩しいライトに集中したが、そこにも快楽は見つからない。
結局、裏側の快楽は見つからず、生まれた我が子。
魂の世界にはきっと痛みはない。
私は痛みにフォーカスしてしまう、まだまだ未熟な人間である。
だけどこの痛みが、生きているからこそ味わえるものだとしたら、
味わい尽くそうと思えた。
産後のボロボロな体にある【痛み】は生きていることを教えてくれた。
どこにフォーカスするか、
どこにフォーカスできるのか、
それによって見えるものは変わってくるが、
どんな感情も経験も素晴らしい。
無事に生まれてきてくれた我が子は
生まれたそばから、
たくさんの愛を与えてくれている。
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十月十日、お腹にいた我が子。
【10】という数字は、満期や命の誕生、スタートを意味する。
タロットのⅹ(10)
WHEEL of FORTUNE 運命の輪
人生は有限。
いかなるものにも、そして出来事にも、チャンスも課題も等しく与えられる。
それらのどこにフォーカスし、受け止め、意味のあるものにしていくか。
新しいスタートや、変化していく時は
ハッピーなものばかりではなく、成長痛が伴う。
準備が実るのか、事態が変わるのかもわからない。
それをチャンスと捉え、どう生かしていくかが自分の強さになっていく。